長野県芸術監督団事業

【演劇】「串田和美さんと一緒にぶたいつくり隊」キックオフ(茅野)

この日の会場の雰囲気はこんな感じ

Trunk Theaterちの実行委員会では、2019年5月31日に、会場を予定している信州八ヶ岳 長寿寒天館で「串田和美さんと一緒にぶたいつくり隊」仲間募集の説明会を開催しました。
Trunk Theaterちの実行委員会のメンバー、茅野市民館とNPO法人サポートCはオープンして15年、「縄文」や「絵本の朗読」などをテーマにさまざまなイベントを行ってきましたが、とにかく市民の皆さんと一緒に時空間をつくり上げることが上手! 今回も10月20日(日)のトランクシアター・プロジェクト2019『月夜のファウスト』上演に向けて、「たくさんの街のにぎわいをつくりましょう。仲間になってくださる皆さんと一緒に考え、実現します」をコンセプトにしています。その根底には、「この街と演劇を楽しもう」という思いがあるのです。

「串田和美さんと一緒にぶたいつくり隊」仲間募集説明会

キックオフイベントの会場になった「信州八ヶ岳 長寿寒天館」は、茅野市の伝統産業「天然角寒天づくり」を、製造風景の展示、スタッフによる解説、試食などを通して、この地域に根差した食文化を理解、体験していただくことを目的にオープンした施設です。入口を入ると、さっそく寒天つくりに使う道具が並んでいます。

 

入り口には寒天の展示があります

 

二階には、寒天の原料になるテングサ

2階の会場では、生寒天の試食が待っています。イベントが始まる前に、先に胃袋を掴まれてしまいました!

寒天いただいちゃいました

イベントは、実行委員会のメンバー、荻原みゆきさんの司会で進行していきます。「じゃあ茅野ではどうするの?」「どうやって迎えたら面白いの?」

八幡さん

まずは実行委員長、八幡香さんがごあいさつ。
「とにかくみなさんと一緒に楽しいものを作り上げたいなということが一番の目的。茅野市西山地区から諏訪大社上社前宮あたりに劇的時空間をつくり出すプロジェクトを実践できればと思います。舞台創作を通して、産業と芸術文化の融合を地域とともに目指していきたい。寒天産業商業施設として、普段、観光客をおもてなししているこの場所に、演劇を軸とした舞台創作によって、非日常空間を生み出し、その空間の変化も一緒に楽しみたいなあと思っています。一夜限りの街のにぎわい、それに伴う事前の創作プロセスを通して、すでにある地域の宝物、産業や観光を新たな魅力を持った資源として視覚化することができたら素晴らしい結果を生み出すのではないでしょうか。それらを一人ひとりの心の豊かさの糧として、またそこから新しいものを創出していきましょう。長野県が主軸のこの事業には多様な地域の魅力を共有できると同時に、自分たちの暮らしの中も魅力も改めて意識することを願って、参加します。みなさんの妄想を一緒に形にしていきましょう」

松木寒天の熊沢さん

続いて、信州八ヶ岳 長寿寒天館を会場として提供してくださる松木寒天産業株式会社の熊沢美典さんが施設の紹介を兼ねて、プロジェクト参加への思いを語ってくださいました。
「寒天は地域の食文化、非常に独特の歴史をつないできた産業です。しかしこの地域には地元の良さを伝える、寒天の良さを伝える機会も施設もありませんでした。もちろん周囲にも観光施設はありますが、地域に根付いたものではなかったので、地元の良さまでを伝えるには至らなかったんです。そんな経緯もあって寒天の魅力を直に伝える施設ということで3年前にオープンしました。普段から観光でいらしたお客様に寒天に関する解説をしているんですけど、非常に喜んでいただいています。「トランクシアター・プロジェクト2019」参加のお声がけをいただきましたが、そのコンセプトがうちの施設ととても重なるところがあるという印象です。そういう意味では、非常に素晴らしい機会をいただきました。例えば寒天も面白い食材で、地元のさまざまな特産品を寒天よせにして食べていただくことで、お客様とのコミュニケーションが生まれるんです。『月夜のファウスト』を観にきてくださったお客様に、食の面から地域のことを発信するという意味ではお力になれると思う。そのへんのアイデアをみなさんと考えて、おもてなし、寒天の視点から盛り上げていきましょう」

木下さん

続いて、この施設のプランニング、オープンなどに関わった株式会社イマージの木下和明さんがイメージを語ってくださいました。
「信州八ヶ岳 長寿寒天館のオープンに関わった経緯もあり、トランクシアター・プロジェクト2019の会場つくりに関らせていただきます。なぜこの場所なのか。諏訪大社前宮、いろんな古墳、神長官守矢史料館、寒天蔵、藤森照信建築などが散在し、縄文時代から現代までの歴史を感じられる地域。この里山エリアに散在している歴史を新たに掘り起こして、魅力ある財産として発信し、茅野市西側のエリアの観光の拠点として信州八ヶ岳 長寿寒天館がなればと考えています。『月夜のファウスト』は寒天館と隣接する空間を想定しています。そちらを新たな拠点として、企業と地域、市民館との連携による発表の場所、新たな寄り合いどころとして、展示、コンサート、蚤の市、レンタルサイクルの中継地点、などなどとして活用できる期待があります。一企業が目立つのではなくエリアとして注目されることを考えています」

茅野市民館の辻野館長

そして茅野市民館の辻野隆之館長がこのプロジェクトへの期待を語りました。
「茅野市民館、茅野市美術館は開館して15年目になります。地域の特性、宝物に非常にこだわって応援してきました。劇場、美術館、交流施設も“市民のひろば”の理念のもと地域に光を当て、新たな地域未来を考えていこうというスタンスで活動しています。トランクシアター・プロジェクト2019でございますけど、長野県文化振興事業団と令和元年の事業として連携してやっていきます。串田さんの素晴らしい作品と、市民館と地域で文化を創造するという部分を合体させてこの事業を進めたいと思っています。実は串田さん、そして『ファウスト』は茅野市民館とも縁があるんですね。2010年のマルチホールに特設会場をつくって上演したことがありました。テーマ、モチーフとしてファウストなんですけど、サーカスというコンテンツを使って物語をつくりました。『ファウスト』という入口ではありますが、今回はどんな舞台につくってくださるのか私もワクワクしています。公演が行われる10月まで、皆さんとどんなクリエーションをしていくか考えながらやっていきましょう」

おでかけ隊の皆さんが入場

ここで、茅野市民館の劇場と地域のつながりを広げる活動から生まれた「おでかけ隊」の皆さんが音楽を鳴らしながら登場し、八ヶ岳と富士山の物語を上演してくれました。大昔、八ヶ岳と富士山が背の高さを自慢しあっていて、阿弥陀如来の立会いのもとで背比べをすることに。樋を使って水を流したところ、水は富士山に向かって流れ始めました。勝ち誇る八ヶ岳。ところが富士山は悔しさのあまり八ヶ岳を蹴飛ばしたために、八ヶ岳は八つに分かれてしまいましたとさ。

おでかけ隊による「富士山と八ヶ岳」

「身近な題材を演劇で表現している活動をしています。宮川地区にもあるたくさん民話を掘り起こして、みなさんと一緒に演劇で表現できたり、楽しさを味わうことができたらと思っています」と、「おでかけ隊」の五味三恵さんがメッセージ。

司会の荻原さん

そして最後に荻原みゆきさんが改めて、企画の趣旨と仲間&アイデア募集を投げかけました。
「この地域の魅力を発見しながら、最終的に串田さんの作品を上演するところまでお届けできたら楽しいなと。一個一個、みなさんのアイデアをスケジュールに落とし込んでいきたいと思います。例えばお料理が得意な方がいましたら松木寒天さんと寒天の講座をやろうということでもいいです。『ファウスト』に詳しい方をおよびして作品を勉強する講座を行うということでもいいです。演劇の楽しさを宮川の皆さんにお伝えする活動をしたい、あるいはそこに役者として出てみたいということもできます。また会場づくりを手伝っていただくという参加の仕方も出てくると思います。何をやるかは何も決まっていません。月に1回は、こういう機会を開きたいと思います。みなさんの中で楽しいと思ったことをこの場で実現していきましょう。なんでも大歓迎です」

会はお茶会に移り変わり、さっそく皆さんが気楽にお話する時間に突入。茅野ではどんなあれやこれやが実現することでしょう? 楽しみですね!