【演劇】佐久「子どものための施設に、この日は大人たちが集う」

ここにタイトル
 トランク・シアタープロジェクト2019、佐久の会場は佐久市子ども未来館(サクモ)でした。「サクモ」は、2001年に、「子どもの科学に関する知識の普及及び啓発を図り、もって次代を担う創造性豊かな子どもの育成に寄与する」ことを目的に設立された施設です。そこに、便利が度を越して進みすぎた科学にささやかな警鐘を投げかけるような『ファウスト』がやってくるのも面白いですね。

 夜18時。10月3日ともなれば、もう真っ暗です。閉館して静かになった「サクモ」の企画展示室に灯ったあかりに集まるように、おじいちゃんおばあちゃんなど大人のお客様たちが集まってきました。普段は子供たちが声を上げて走り回っている姿を目にするのが普通の場所だけに、なんだか不思議な感じがします。例えれば大人の秘密の催しが夜な夜な行われている、かぐらいの感じです。いえいえ、もちろんそんなことはないのですが。
 パフォーマーでもある館長のなおやマンのトサカの髪型、ピンクのスーツがひと際目を引きます。独自のネットワークとアイデアで、さまざまなイベントやワークショップを行なっているなおやマンと、地元で演劇活動を行なっているメンバーが実行委員会を結成してくれました。佐久は音楽が盛んですが、演劇となると、佐久コスモホール(奥村達夫館長兼芸術監督)が市民ミュージカル「心のミュージカル」や「キッズ・サーキット」など奮闘していたり、地域の演劇祭もありますが、見る機会となるとまだまだ少ないようです。

 『月夜のファウスト』一座も、この日がツアー1日目。もちろんプロフェッショナルなスタッフが集まっているので作業は着々と進んでいきます。しかし、それでも今後のツアーは終演後に舞台装置をバラして次の会場のある街まで行く、翌朝早々から改めて舞台を組み上げていくというような作業が続きます。ですから、最初の一歩は、緊張しないわけがありません。
 開演間近になると、若い仕事帰りのお客様も集まって、幸先よく約65名余りによって客席が埋まりました。少し固い雰囲気だった客席も、役者陣が語る戦後の武蔵野の風景の描写に「うん、うん」とうなづく回数のたびに、少しずつ少しずつほぐれていくようでした。拍手も徐々に大きくなっていきました。静かにご覧になっている方が多かったのは確かですが、とても真剣に見入ってださっていた様子。
 佐久のみなさん、『月夜のファウスト』はいかがでしたか? これから、県内各地にお邪魔します。