【演劇】軽井沢追分宿の油やで滞在制作している近藤隼さん、草光純太さんを訪ねました。

軽井沢からトランクシアター・プロジェクトに手を挙げてくれたのはNPO法人「油やプロジェクト」さん。「信州追分文化磁場 油や」はかつて中仙道軽井沢追分宿の脇本陣として、昭和13年に現在の位置に移転してからは堀辰雄、立原道造、加藤周一ら文士・知識人たちが好んで執筆に利用した宿としての歴史を持つ旅籠「油屋」の建物を生かし、文化的活動(本・アート・クラフトなど)の拠点として運営をされています。

代表の斎藤尚宏さんは「うちでアーティスト・イン・レジデンスを始めて3年目になるんです。今までは、版画プロジェクトで10人、歴史回廊アートをテーマに建物の中で展示を行うプロジェクトに書と絵と、ワイアーアート、版画の4人の作家さんが滞在してくれています。ちょっとずつネットワークが広がっているので、さまざまなアーティストが交流できる場になっていけばいいなという思いがあるんですね。それでジャンルを広めたいということで、ちょうど『月夜のファウスト』の話があったので、それをきっかけにして演劇のレジデンスができないかと相談したんです。そしたら、串田さんのもとで活動していらっしゃるお二人が来てくれるということになって大変うれしく思っています」

油やさんの2階の和室で2週間滞在をしているのは、まつもと市民芸術館を拠点に活動している俳優の近藤隼さん、草光純太さんだ。この日、古い建物とつながった、ベンチのある天神桟敷という野外空間で、稽古している二人をキャッチしました。
「夜は部屋で頭を突き合わせて台本作りや演出を考えるテーブルワーク、昼間は天神桟敷で稽古をしています。天気がいいとすごく気持ちがいい。油やさんはとても雰囲気のある建物。サロンがあっていろんな人と話せるし、キッチンがあるので自炊ができるのもありがたい。何より油やの皆さんにはとてもよくしていただいています。僕らもともと東京から松本に移り住んで芝居をやっているんです。松本も都会のように雑音もなくていい環境ですが、ここは松本以上に集中できて、モノづくりをするにはとても快適です」(近藤さん)。
二人はとある二人芝居の稽古をしていた。9月28日に地域のみなさんを招いて、それを披露する。と言っても、完成を見せるというのではなく、見てもらって感想をいろいろもらうことで、次の制作の糧にするのだ。

「純太さんと一緒にやろうとは思っていたんです。せっかくここでやるなら堀辰雄さんの小説をもとにしたものか、既存の戯曲からTCアルプではやらないようなものを選ぶか、あるいはレジデンスでじっくり作れるからワークショップをしながら自分たちで脚本から立ち上げるか、3本柱で考えていたんです。その中で、森で繰り広げられる二人芝居を発見して、油やさんを囲む緑の中でやったら面白いかなと思ったんです」
政治的対立という背景ではあるものの、二人のキャラクターで、どうやら前半はクスクス笑ってしまうようなお芝居になりそう。