飯山公演はいわゆる普通の劇場での公演。ギャラリーやカフェ、体育館など様々な会場を経て感じるのは、やはり劇場は演劇をするための場なんだということ。搬入作業も搬入口からすぐでき、楽屋も舞台裏にちゃんとあります。扉を閉めれば完全暗転も可能です。劇場ではない空間を回ってきたからこそ、劇場の良さをしみじみと感じながらの仕込み作業となりました。
今回は、ホールの客席の一部を取り払い、そこに舞台を設置しました。面白かったのが、隈研吾設計のなちゅらと、「月夜のファウスト」の舞台セットがとても馴染んでいたこと。「まるで劇場も舞台装置の一部みたい!」と会館の方にも喜んでいただきました。舞台と会場のフィット感は、もしかしたらこのなちゅらが一番だったかもしれません。
さて、飯山公演当日は、台風の被害もありお客様の入りが心配でしたが、ふたを開けてみると当日券をお買い求めになるお客様もいらっしゃり、70席の客席はいっぱいになりました。開場中は、ロビーにてサックス(滝沢さん)とギター(ヤマウラさん)の演奏も。サックスを演奏してくださった滝沢さんは飯山実行委員会が開催したファウストの朗読会にもご参加してくださいました。お客様の中にも、朗読会に参加されていた方がちらほら。皆さんこの「月夜のファウスト」を心待ちにされていたようです。
まだまだ台風の爪痕が残る飯山の街でしたが、劇場という普段から演劇やコンサートが行われる場所で、「普段通り」に演劇の公演ができるありがたさをしみじみと感じる、そんな飯山公演でした。日常が非日常なときだからこそ、演劇という「非日常」の営みを日常通りに行う大切さ。実行委員会の皆様、そしてお越し下さったお客様、本当にありがとうございました。